古くは、自宅での出棺の儀礼の後、葬列(野辺の送り)を組んで葬場に行き、葬儀式を行い、火葬または土葬をしたというのが一般的であったと思われます。葬列がなくなって、自宅での儀礼と葬場での儀礼が一体化したことにより、「葬儀・告別式」が誕生しました。
葬儀・告別式は、葬儀式と告別式という本来は違った性格の儀礼が合体したものです。葬儀式は死者をこの世からあの世に引き渡す宗教的な儀礼であり、告別式は会葬者が遺族に慰めの言葉を寄せ、一人一人焼香または献花して死者に別れを告げる儀礼です。告別式は故人の知り合いの人たちが弔問する場を儀式として組織したものです。したがって、葬儀式は宗教儀礼であり、告別式は社会儀礼であると位置づけることが可能でしょう。
ところが、1970年代以降、参列者が忙しい、火葬の時刻が定まっているなどの理由から、葬儀式と告別式とを併せて1時間程度で済ますことが要請され、葬儀式と告別式の同時進行が一般的となりました。葬儀式の最中に会葬者による告別の焼香が行われるようになって、告別式の位置づけが強まり、逆に葬儀式の位置づけは弱まる傾向となりました。社会儀礼としての告別式の位置が高まることにより、「何のための葬儀か」という批判も起きるようになりました。葬儀式と告別式のあり方については再考を要する時期にきています。故人に想いを集中して葬儀式に参加すべき遺族が、告別式が同時進行していることから、会葬者への答礼に忙しくしていることが多いのは問題であると指摘されました。
2000年以降、通夜が告別式化し、葬儀から告別式が分離され、近親者・関係者だけの葬儀という流れが一般化してきました。 また、通夜が肥大化することで、通夜か葬儀のどちらかに絞ろうという流れも出てきて、その一つが「一日葬」という流れです。これらは葬儀を社会儀礼としてのみ見る考えから出てきたもので、本来は人の死を受け止めるプロセスとして葬儀がもっていた意味が忘れられがちなところから発生したものです。
通夜には通夜の意味があり、葬儀には葬儀の意味があります。通夜以前の枕経や納棺にもそれぞれの意味があり、そのステップを踏むことに人の死、大切な近親者の死を受容するプロセスとして機能した、という歴史があります。そうした本来もっていた葬儀のプロセスとしての機能を今一度見直す必要があります。葬儀を単に社会儀礼と捉えると、社会儀礼は1回でいいし、皆の都合に合わせて行えばいいということになり、現在の「通夜式」あるいは「1日葬」が出てきているのではないでしょうか。
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